グルメな胃袋はロートレックの美食三昧
生物的欲求の三大欲求(食欲、睡眠欲、性欲)のうち食欲だけは年をとっても衰えることを知らない。自称グルメの私は、インターネットで近所の店を見て回る。
何気なく雰囲気がよさそうなので入ったお店は、概ね正解である。長年培ってきたおいしい店探しの嗅覚が研ぎ澄まされているからだろうか。
20年位前の話で恐縮です。当時どうしても手に入れたい書籍がありました。それはロートレックの「美食三昧」というメニューレシピ本です。
ところがその本は入手困難でサントリーの美術館にしかないとのことでした。親切な友人はわざわざサントリーの美術館まで出かけて行ってくれて、その一部をコピーしてきてくれました。
夢にまで見たロートレックのお気に入りの料理本が手に入り、大喜びでした。想像した以上に美食家ロートレックのメニューのレシピ本は素晴らしい本でした。料理の絵こそ描かれていませんが、挿絵がふんだんに使われ、ベルエッポックを感じさせる豪華な内容です。
でもそこに書かれているメニューはデザート、スープ、メイン料理と約200種ありますが、意外とシンプルなものが多いです。
例えばりんごを薄切りにして塩胡椒で炒めお皿に敷き、続いてウィンナーを炒めてりんごの上に乗せるだけ。(ウィンナーのリンゴ添え)とか、こんなメニューもあります。バターを塗ったグラタン皿ににんにくを塗り、古い5フラン銀貨の厚さに切ったじゃがいもを並べ、それに塩胡椒をしてじゃがいもがひたひたになるくらいの牛乳を加えます。そしてバターをのせ180度のオーブンで水気がなくなるまで焼くだけです。じゃがいものグラタン(ドフィネ風グラタン)など。
いかがでしょうか。美食家と呼ばれるロートレックは、実は複雑に手の込んだ料理よりも素材そのものを味わうグルメだったのではないでしょうか。
先日一つ星レストランでフレンチ料理を食べたのですが、確かに見た目もきれいだし味も悪くはない。でも私は採りたての野菜を切ってそれを特製のディップにつけてバケットにのせ、よく冷えたシャルドネと共にいただく。その方がよほどグルメの胃袋を満足させてくれると思うのですが、いかがでしょうか。